この車両は、一般区間および分岐器部のレール頭面・レール側面ならびにゲージコーナーを削正し、波状摩耗の除去と適正なレール断面形状を回復するために使用するレール削正車です。
この車両は、三相交流電動モーターによって高速に回転させられる砥石を、レール表面に押し付けてレール金属の削正を行う保守車両で、3両で1編成となっています。各車両をA車(動力車)、C車(削正車)、B車(キャビンつき削正車)と呼び、C車とB車に各8個、合計16個の砥石を装備しています。
この車両は、回送時の最高速度は60km/hで、他の保守車両と連結運転ができるように、貫通ブレーキ方式を採用しています。
作業時の特長としては、ゲージコーナーからフィールドコーナーにわたって砥石角度を随時変更しながらの削正ができ、効率的かつ正確なレール削正ができます。また、削正時に発生する粉塵を回収する集塵装置を4基(C車とB車に各2基)搭載しています。
検測機構は、レーザーとCCDカメラによる非接触式レール断面形状測定器と接触式のレール(長・中・短波)波状摩耗測定器が一体となったKLD/DLM6検測装置が装備されています。
車両が走行・検測・削正時に行う制御内容は、油圧・空圧・機械・電気・電子といった広範囲にわたるため、プログラマブルコントローラー(PLC)を搭載して複雑な制御を行っています。
この車両の削正能力は。削正速度毎時5km/h、削正圧力19A(削正モーター消費電流で圧力を表示)の場合に、0.01〜0.04mm/パスとなっています。この削正量は、各1パス(片道削正)ごとのレール頭頂面の削正量ではなく、例えば12パス施工した場合に、作業終了時点で0.12〜0.48mmの頭頂面の金属除去を行うことが可能で、1パスあたりの平均削正量として算出される数値です。言い換えると、ゲージコーナー削正中のパスでは、頭頂面の金属除去量は0となる場合もありうるということです。
駆動方式は、回送・作業走行とも、主エンジン・主発電機・カルダンシャフト・ポンプドライバー・駆動用油圧ポンプ・駆動用油圧モーター・1速ギアボックス・(最終減速機)の順番で力が伝達される、油圧走行方式となっています。
制動関係は、主エンジンよりベルトで駆動される制動用コンプレッサーが圧縮空気を発生し、補助空気タンクと三動弁を使用して制御する方式となっています。
削正作業に使用される動力は、C車・B車上の油圧ステーションの油圧ポンプで発生した油圧、電動コンプレッサーで発生した圧縮空気、エンジンと直結の主発電機で発生した440V/60Hz電力を使用します。
電気制御系統は、直流24V・交流28Vを使用しています。
削正車両は、その性格上、金属を大量に含む粉塵を発生します。一方車両の制御には多くの精密機器、電子機器が使用されているため、粉塵の進入を極力防ぐ必要があります。このため、電子基板のあるキャビン・油圧機器の多い機器室・各配電盤が加圧さけています。加圧とは、ベンチレーターなどで半密閉状態の空間に強制的に空気を送り込み、外圧との気圧差で外気の進入を防止することです。粉塵対策をした機器が多く搭載されてはいますが、長期的な車両保守の面では、日常の清掃と点検が非常に重要な作業となります。
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